AI・バーチャルリアリティ時代に「現象学」を知る面白さ

「どうして目が痛むんだ?」

  「初めて目を使うからだ」

 

   映画「マトリックス」の劇中のセリフより

 

1999年公開の映画「マトリックス」では、人間が仮想現実の世界で暮らしており、冒頭のセリフは、「仮想現実」から「現実」の世界に目覚めた主人公のものだ。

劇中の仮想世界で、主人公はあらゆるものを見てきたが、それは脳に送られた電気信号による映像で、実際の目は使っていなかった。生まれてはじめて目を使うので痛みを感じるというわけだ。

人の体験や世界の存在について、深く考えさせられるシーンである。

 

私は、書籍「学び直しの現象学 大学院修了者への聞き取りを通して」(岩崎久志著)を購入したことがきっかけで、「現象学」について、興味を持ったのだが、「現象学」の解説を読むにつれ、映画「マトリックス」を連想し、これってバーチャルリアリティのテーマにつながるのではないかと感じた。

 

映画の公開から20数年を経て、今では現実の社会にAIやバーチャルリアリティが実際に使えるものとして用意されている。

早速、現実のAIのChatGPTと、そのことについて対話してみた。

以下、その対話のログ(記録)である。

 

わたし:『現象学について、映画「マトリックス」で表現される主題に対応させることはできますか?』

 

ChatGPT:『映画「マトリックス」の主題は、現象学の一部と関連付けることができます。特に、主人公たちが「マトリックス」と呼ばれる仮想現実の世界に閉じ込められ、真実を発見しようとする試みは、現象学の概念に響きます。ネオがマトリックスの幻想を超越し、真の自己や現実を追求する過程は、フッサールやメルロ・ポンティのような現象学者が主張する意識の構造や経験の意味付けと共鳴します。また、主人公たちが直感や直観、そして現実と虚構の境界を探求する過程は、現象学のテーマと一致します。』※下線筆者

 

すごい!

なんとなく、そうだろうなという返事が返ってきた。

特にChatGPTが言及した「真の自己や現実を追求する過程」は、まさにカウンセリングが目指すものではないだろうか。

対人援助の分野で、「現象学」が応用されたのは1960年代と歴史は古く、2000年代になっても看護におけるケアを現象学の立場で捉えることが注目されている。

以上のようなこともあり「現象学」は奥が深く、バーチャルリアリティ時代のカウンセラーとしてのものの捉え方に参考になると確信するとともに、非常に面白いと感じた。

文中で触れた書籍の著者である、岩崎久志氏による研修 『「傾聴」の論理的基盤「現象学」を学ぶ』が5月25日(土)に開催される。

 

どんなお話が聴けるのか、今からとても楽しみにしている。

 

参考書籍

「学び直しの現象学 大学院修了者への聞き取りを通して」(岩崎久志著)

 

 産業カウンセラー協会会員のための学びのプラットフォームJラボj-lab.counselor.or.jp

中部支部会員研修

【オンライン】「傾聴」の論理的枠組み、「現象学」を学ぶ | 一般社団法人日本産業カウンセラー協会 中部支部